7つ道具 その1

21日アゲインのアレンジが一通り済んだので、今日はちょっと中休み。久々に見つけたケーナで遊んでました。
そして時間のあるうちにブログも更新しておこうと思ったのですが何を書けばよいのやら…
ということで突然ですが今日は普段使っている仕事道具について書いてみます。
まずはこちら

いつも使っている相棒(ビオラ)です。最近メンテナンスをサボっているのでご機嫌斜めですが。
名前は「ボッセ」

新日フィルの指揮者としてお馴染みのの、
ゲヴァントハウス管弦楽団コンサートマスターだった、
あのボッセさんです。

そのボッセさんが使っていた楽器をボッセさんが指揮活動を本格的に始めると、もう使わないからといって僕の師匠に譲り、それを今僕が所有しているわけです。

何でもボッセさんの知人の職人さんが作ったそうです。もちろんドイツ製です。
ひとたびその音を奏でるとゲヴァントハウス管のいぶし銀の香りが漂い…
ません。笑
それは弾き手の音楽性によるものです。



そしてこちらは忘れかけたころに時々出番が来るヴァイオリン



名前は、えーと…「パオロ」笑
ラヴェルには「Giovan Paolo Mac / BRESCIA 1671」と書いてあります。詳しく言うと「Mac」と「71」のところは手書きで、残りはスタンプのようです。
ヴァイオリンに詳しい方ならBRESCIAでGiovan Paoloときたらマッジーニの名を浮かべられると思います。正確にはGiovanni Paolo Magginiですが。
(ちなみにブレシアはイタリア北部にある都市であのストラディヴァリの活躍で有名なクレモナがヴァイオリン生産のメッカになる前にヴァイオリン製作の中心となったところです。そこで活躍したのがマッジーニやその師匠ガスパロ・ダ・サロです。ちなみのちなみにダ・サロの弟子にはアンドレア・アマティがいます。そしてその孫ニコラの弟子がストラディヴァリです。アマティやストラディヴァリはクレモナ派です。ちなみのちなみのちなみに、ダ・サロはヴァイオリンを最初に作った可能性のある人物の一人と言われてますが、マッジーニともども現在ではヴィオラの評価がとても高いです。状態にもよりますが、ヴィオラに関してのみ言うとストラディバリより高額になることが多いです。)
ただマッジーニの没年は1630年といわれているのでおかしいですよね。もちろんマッジーニではありません。というか1671年製でもなさそうです。さらに言うとイタリア製でもないっぽいです。
恐らくはコピー物だろうということですが、では元ネタがマッジーニかというとどうもそうでもなさそうです。
第一このヴァイオリン、形が変ですよね。僕が「ひょうたん型」と呼んでいたら西洋物なんだからせめて「洋梨形」って言ったらと言われました。そう、サイドにある「角」がありません。更にはf字孔がfの形をしていません。どちらかというと「L」字孔です。このL字孔はヴィオラ・ダ・ガンバなどのヴィオール属によく見られる形です。バイト先の楽器学資料館にあるヴィオラ・ダモーレもこのL字孔です。こんな形のヴァイオリンをマッジーニや17世紀のブレシア派の製作者が作った形跡が今のところ見つかりません。(個人調べ)  
変則ヴァイオリンが盛んに作られたのは18世紀から19世紀みたいなのですが…
とにかくかな〜りへんちくりんな楽器ですが音はいい音が鳴ります。
ヴァイオリンを人前で弾く機会はあまり多くないですが見かけたら楽器をよく観察してみてください。